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All About Ben Whishaw :イギリスの俳優ベン・ウィショーのインタビュー記事の訳、舞台や映画のレビュー、写真等、ベンに関する情報やおしゃべり・・・
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映画『遺伝子組み換えルーレットー私たちの生命のギャンブル』
公式サイト
GMO(Genetically Modified Organism)
正確に訳せば遺伝子操作された生命体

http://sayonara-nukes.org/
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そのまたおまけ - Herman Melville "Bartleby"

調べていたら、この短編の方が面白そう!と思ってしまった。(ちょっとディケンズっぽい感じもするし・・・・・)
カフカに先駆けたカフカ風とも。色々なアートワークにも見られるように、さぞやアーティストの想像力をかき立てる魅力があるのでしょうね。


そのまたおまけ - Herman Melville \"Bartleby\"  _d0160581_1732467.jpg
国書刊行会より出ている『代書人 バートルビー』酒本雅之訳 の序文をなんと
ホルへ・ルイス・ボルヘスが書いていました。ちょうどよいのでここに記すことにします。





そのまたおまけ - Herman Melville \"Bartleby\"  _d0160581_17333660.jpg

序文 

『白鯨』と『バートルビー』の<共通点と相違点>を綿密に調べ上げるには、この短い序文では尽くせない注意力を必要とするであろう。むろん<相違点>は明々白々だ。メルヴィルの名をもっぱら高らしめているファンタズマゴーリア的大作の主人公、エイハブは、白鯨に足を食いちぎられて復讐を誓ったナンタケットの船長で、舞台は世界の七つの海。バートルビーはウォール街の弁護士事務所につとめる代書人だが、ある仕事をすることを、慇懃(いんぎん)ながら頑として拒みつづける。 


           "ファンタズマゴーリア的な"="走馬灯のような"ってどこかで聞いたぞ!と思ったら、ここ だった 
                       


『白鯨』の文体にはカーライルやシェイクスピアの華麗な反響がふんだんに聴き取れるが、『バートルビー』の文体は主人公と同様、灰色にくすんでいる。にもかかわらずこの長編と短編の間には、たった二年 ― 前者は1851年、後者は1853年の出版 ― の歳月しか介在していない。もしかすると作者は、前者のとほうもなく広大な空間に圧倒されて、ことさら意識的に、都会のジャングルの中に埋もれた、四方を壁で囲まれた狭い事務所を探し求めたのかもしれない。


そのまたおまけ - Herman Melville \"Bartleby\"  _d0160581_17321189.jpg



<共通点>のほうは、たぶんもっと内に秘められたものであろうが、両主人公の狂気の沙汰と、その狂気が両主人公を取り囲んでいるすべての者に感染して行く信じがたい状況とにある。

ピークォド号の乗組員は全員が船長の無分別な冒険に狂信的な熱情をもってよろこんで従い、ウォール街の弁護士と他の代書人たちは奇妙な受け身の姿勢でバートルビーの決定を受け入れる。エイハブと代書人の気違いじみた執念は死に至るまで一瞬たりと動揺することがない。

これら二人の主人公は、彼らがそれぞれ別個の影を投げる存在であるにもかかわらず、彼らがそれぞれ別個の具体的な個性の輪郭をえがいているにもかかわらず、同一の人物なのだ。メルヴィルのつねに変わらぬ主題は孤独ということで、孤独こそは彼の不運な人生の、たぶん中心的大事であった。




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彼は独立戦争の将軍の孫、オランダ人とイギリス人の血を享けた旧家の子孫として、1819年、ニューヨーク市で生まれた。それから12年後、彼の父は精神錯乱と借金につきまとわれて死んでしまう。大家族ゆえの苦しい経済事情のために、ハーマンは学業を中断せざるを得なかった。
 

おきまりの退屈な事務仕事や時間割に追われる教育の仕事をたいして運も向かぬまま転々としたあと、1839年、ある帆船に乗り組んだ。この航海が機縁となって先祖から承け継いだ海への情熱が強められ、それはやがて彼の文学と人生に鮮明な刻印を残すことになる。




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1841年、彼は捕鯨船アクシュネット号に乗船した。その航海は一年半にも及び、僥倖(ぎょうこう)のような長編小説『白鯨』の多くのエピソードを彼に着想させる原動力となったのである。船長の横暴さのために、彼は仲間一人とマルケサス諸島で船から脱走し、二ヶ月ばかり食人種の捕虜となったあと、逃亡してオーストラリアの商船に救助されたが、これもパペーテで下船した。こうして何度か乗船と下船を繰り返したあげく、1844年、ようやくボストンに帰還する。この間の一つ一つの段階が一連の著作の主題となった。




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ハーヴァードとイェールで大学教育を修了。ランシンバーグの家に帰り、それから初めてさまざまな文学集会に顔を出すようになった。1947年、名門の娘、エリザベス・ショー嬢と結婚し、二年後にイギリスとフランスへ二人いっしょの旅行に出て帰国するとマサチューセッツに人里離れた豪農風の邸宅を構え、それから暫くそこが彼の家となった。




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『白鯨』を捧げたナサニエル・ホーソーンとの友誼(ゆうぎ)が始まったのもここである。メルヴィルはこの作品の原稿をホーソーンに委ねてその是認を求めているが、あるときなど、「鯨の髭を一本、見本にどうぞ」と言って一章分を送ったりしている。それから一年後に彼は『ピエール、あるいは曖昧なることども』を出版した。わたしは軽率にもこの本の読解を試みたことがあるが、同時代の読者と同様、途方にくれてしまった。それよりさらに錯綜してうんざりするのが『マーディ』(1849)で、物語の時間は南海の創造の領域で経過し、最後は果てしない追跡をもって終わっている。登場人物の一人、哲学者パパランジャは、およそ哲学者らしからぬ人物の原形である。

メルヴィルは死の少し前に代表作の一つ、『ビリー・バッド』を完成したが、法と正義の葛藤というその悲愴な主題はブリテンのオペラを生む原動力となった。最晩年は宇宙の神秘を解くための一つの鍵を追求することに捧げられた。



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彼はなろうことなら領事になることを望んだが、結局はニューヨーク税関の検査官という下級の任務に甘んじざるを得ず、その務めを長年にわたって遂行した。彼を貧窮から救ってくれたその勤め口は、じつはホーソーンに世話してもらったものであった。メルヴィルは、他にもいろいろ苦労が多かった人だが、結婚においても幸福ではなかったことは周知のところである。彼は背が高く、がっしりした体格で、海上の生活で肌は日焼けして、黒い髭を生やしていた。

ホーソーンはメルヴィルの服装について、飾り気のないものだったと言ってる。彼の荷物はうんと使い古したバッグ一つに限られ、中身もズボンが一着、色もののシャツ一枚、それに一本は歯みがき用、もう一本は髪の毛用の二本のブラシだけだったが、いつもきちんとしていた。船乗り稼業を繰り返しているうちにそのような質素が身にしみついてしまったのであろう。






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世間から忘却され見棄てられた作家、それが彼の最後の運命であった。『大英百科事典』第十二版には『白鯨』は単純な冒険小説として載っている。それが1920年ごろになってやっと批評家たちによって、そうしてたぶんもっと重要なことにすべての読者によって、メルヴィルは発見されたのであった。

今世紀の20年代に、フランツ・カフカが有名な幻想文学のジャンルを開始した。彼の忘れがたいページにおいて、信じがたいのは出来事よりもむしろ登場人物の挙動にある。というわけで『審判』において主人公は、いっさいの権威を欠く裁判所によって裁かれ、刑を執行されながら、何の抗議もせずにその厳しさを受け入れる。

メルヴィルは、それより半世紀以上も前に、バートルビーの異常な例を丹念にえがいており、この人物は、単にいかなる論理とも逆の行き方をするばかりでなく、他の者たちまであっけにとられつつ彼の共犯者たらざるを得なくさせてしまうのである。
『バートルビー』は夢想の作品化、あるいは手すさび以上のものであり、根本的には、この世の日常的な皮肉の一つである、夢想の本質的無用性をわれわれに示している悲しくも真実なる書物なのである。

                                      ホルへ・ルイス・ボルヘス
                    






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→ あらすじ Bartleby the Scrivener (BBC 4 in 2004)
Starring Ian Holm (Lawyer)/Adrian Scarborough (Bartleby)








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この言葉がキーワードのようで、Tシャツにもなっている。
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"I would prefer not to"




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映画化、舞台化も世界的にたくさん・・・・・
そのまたおまけ - Herman Melville \"Bartleby\"  _d0160581_18485990.jpg
YouTube: From 'Bartleby' (1972) McEnery, Scofield
名優、ポール・スコフィールドがこんなところに出ていた!



*** Bonus ***



●なんと、『バートルビー』をエンディングセリフベスト10 の2番目に選んでいるサイトが☆

2. 'Bartleby, the Scrivener' by Herman Melville

"Ah Bartleby! Ah humanity!"
「ああ、バートルビー! ああ、人間とは!」



Why It Works:
Although Bartleby, the Scrivener is actually a short story, its last line isone of my favorites. Many people would list the last line of Melville's Moby Dick here, but I love the simplicity of Bartleby's closing words. Bartleby is procrastination manifested, a man who refuses to do a simple task because he too often preoccupies himself with bigger questions of life and the universe. He's a stand-in for Melville, surely, but also perhaps a stand-in for humanity itself. Bartleby lived a hard life, culminating in a heartwrenching turn in a dead letters office that caused him to simply giveup. With those closing words, the narrator (Bartleby's employer) resigns himself to the absurd tragedy of Bartleby's life and, in turn, all of our lives.



1. 'The Adventures of Huckleberry Finn' by Mark Twain
"But I reckon I got to light out for the Territory ahead of the rest, because Aunt Sally she’s going to adopt me and sivilize me and I can’t stand it. I been there before."

3. 'The Dark Tower' by Stephen King
"The man in black fled across the desert, and the gunslinger followed."

4. 'Emma' by Jane Austen
"But, in spite of these deficiencies, the wishes, the hopes, the confidence, the predictions of the small band of true friends who witnessed the ceremony, were fully answered in the perfect happiness of the union."

5. 'Frankenstein; or, The Modern Prometheus' by Mary Shelley
"He was soon borne away by the waves, and lost in darkness and distance."


6. 'Gone With the Wind' by Margaret Mitchell
“Tomorrow, I’ll think of some way to get him back. After all, tomorrow is another day.”

7. 'Harry Potter and the Deathly Hallows' by J.K. Rowling
"The scar had not pained Harry for nineteen years. All was well."

8. 'Nineteen Eighty-Four' by George Orwell
"He loved Big Brother."

9. 'A Tale of Two Cities' by Charles Dickens
“It is a far, far better thing that I do, than I have ever done; it is a far, far better place that I go to than I have ever known.”

10. 'Wuthering Heights' by Emily Bronte
"I lingered round them, under that benign sky: watched the moths fluttering among the heath and harebells, listened to the soft wind breathing through the grass, and wondered how any one could ever imagine unquiet slumbers for the sleepers in that quiet earth."

by uraracat | 2013-08-23 00:08 | 文学・詩
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