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All About Ben Whishaw :イギリスの俳優ベン・ウィショーのインタビュー記事の訳、舞台や映画のレビュー、写真等、ベンに関する情報やおしゃべり・・・
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ベン・ウィショー 『ブライト・スター』 垣間見えるキーツのジェラシー

Bright Star ― A Fight of Passion




先日、掲載したキーツの手紙を再び・・・


ケンティッシュ・タウン 1820年7月5(?) 日(1) 水曜朝  


最愛の少女、

今朝は本をもって散歩してきました、けれどもやはり、いつものように、ぼくの頭を占めているのはあなたのことだけでした。あなたには快くものが言えるようにと願っているのだが。ぼくは日夜苦しみに苛まれている。周囲の人たちは、ぼくのイタリア行の話をしています。あなたから長いあいだ別れるようなことがあれば、もう恢復できないことは確かだ。これほどあなたに心を捧げていてもなお、ぼくはあなたの愛情を確信することができないのです。長く別れていなければならないという事実と過去の経験が結びついて、ほとんど口では言えないほどの苦痛をぼくにあたえるのです。



ベン・ウィショー 『ブライト・スター』 垣間見えるキーツのジェラシー_d0160581_20493586.jpg
小さくて不潔な下宿に移って、ぼろぼろのキーツ、ファニーに「もう来ないでくれ」と追い返す。ファニーに焦点を絞り、あまりキーツのダークな部分を描くのを控えたカンピオン監督、このシーンを映画ではカット。
ベンは憤懣やるかたなかったはず。でも、監督の意をくみ取り、納得して大人の振る舞い。さすがのベン。





あなたのお母さんが来られたら、あなたがディルク夫人のところに行ったかどうか尋ねてみようと思うが、お母さんはぼくを安心させようとして、行かなかったと言うかもしれないから、出し抜けに巧みにやることにしよう。ぼくは、文字どおり擦り切れて今にも死にそうだ。死だけがぼくの唯一の頼みの綱のような気持なのです。これまでに起ったことをぼくは忘れることはできない。何のことかですかって?世間的な男には何でもないことでも、ぼくにとっては死にひとしい。




ベン・ウィショー 『ブライト・スター』 垣間見えるキーツのジェラシー_d0160581_20385970.jpgそういう苦痛からできるだけ逃れたいのです。あなたがブラウンとよくふざけていた頃、ぼくの心の傷みの半分でも、あなたの心が感じることができたら、あなたはああいうことはしなかっただろうに。ブラウンは確かに善良な人間だ――― 一寸刻みにぼくを死に追いやるようなことをしている自分に、彼は気がつかなかったのだ。あの頃のことがぼくに及ぼした影響を、ぼくは今、逐一この身に感じているのです。それがあるもので、ブラウンがいろいろ尽くしてくれても、ぼくへの彼の愛情と友情がよくわかっていても、彼の援助がなかったらぼくはたった今から無一文になるのだけれども、それでもぼくはふたりとも老人になるまでは(ぼくたちが生き存えればの話だが)、彼には会いたくもないし口もきかないつもりなのだ。
ベン・ウィショー 『ブライト・スター』 垣間見えるキーツのジェラシー_d0160581_20403073.jpg


ブラウンからのヴァレンタイン・カードを読むファニー






自分の心がフットボールのようにされて蹴られたことに、怒りを感じているのです。あなたはぼくのこういう感情を狂気だと言うでしょう。前にあなたは、数年待つのも悪くないと言ったことがある――あなたには他に楽しみがあるからだ―――あなたの心はぼくから離れているのだ―――ぼくのようにただ一つの思いを思い詰めたことがないのだ―――あなたにどうしてそれができるだろう?




あなたはぼくにとって熱烈に望ましい対象物なのです―――あなたの居ない部屋の空気は、ぼくの健康に良くないのです。ぼくはあなたと同じではない―――絶対にそうではない―――あなたは持つことができるのだから―――あなたはいろいろのことをすることができるのだから―――ぼく無しでもあなたは幸福になれるのだから。これまででも、一日を過すためならどんなパーティでも、どんなことでも充分だったのです。

ベン・ウィショー 『ブライト・スター』 垣間見えるキーツのジェラシー_d0160581_20594545.jpg


この一ヵ月をあなたはどのように過したことか、誰と笑いあったことか。こんな言い方をすると、ぼくが粗暴のように見えるかもしれない。が、それはあなたがぼくと感じ方が違うからだ―――愛するということがどういうことなのか、あなたにはわかっていないのです―――いつかわかるかもしれないが―――まだその時が来ていないのです。

キーツがこれまでに淋しさの不幸というものをどれだけあなたに引き起こしたか、あなた自身に聞いてみるがよい。ぼくの方はいつだって殉教者だったのだ、だからこそぼくは言うのです。殉教者の苦しみのために告白しないではいられないのです。

あなたが信仰しているキリストの血にかけてぼくは訴えたい、ぼくが見たら苦痛を覚えるようなことを、もし今月しているとしたら、ぼくへの手紙は書かないでほしい。あなたは以前とは変っているかもしれない―――もし変っていないとしたら―――ぼくは生きていたくない―――あなたがそういう振舞をしたのだったら、今日がぼくの最後の夜であることを願うだろう。

ベン・ウィショー 『ブライト・スター』 垣間見えるキーツのジェラシー_d0160581_2142993.jpg



あなた無くしてはぼくは生きられない、それもただのあなたではない、純潔なあなただ、行い正しいあなたなのです。太陽は昇りそして沈み、一日が過ぎ、あなたは自分の思うとおりのことを適当にやり―――その一日のあいだにぼくの心の中を、どれほど多くの惨めな思いが通過したか、あなたは考えてもみない。―――真剣に考えてほしい!愛は玩具ではないのです―――そして繰り返すが、手紙を書かないでほしい、水晶のように透明な良心をもって書くのでないなら。あなたが居ないなら、死ぬ方がましなのです。

                              永遠にあなたのものである
                              ジョン・キーツ





ベン・ウィショー 『ブライト・スター』 垣間見えるキーツのジェラシー_d0160581_2152057.jpg






※  ハリー・B・フォーマン編『キーツ全集』(1883年)から採ったもの。
(1) ブラウンが5月6日にスコットランド旅行に出かけ、その間ブラウンの家は人に貸すので、キーツも同じ日に下宿に移った。ウェントワース・プレイスから東一キロ半くらいの場所である。なおこの手紙を書いた日に、医師から転地療養のためのイタリア行を勧められた、というより命令されたらしい。


『キーツ 詩人の手紙』 田村英之助 訳(冨山房百科文庫1977)より





*******

ベン・ウィショー 『ブライト・スター』 垣間見えるキーツのジェラシー_d0160581_2047270.jpgキーツは詩人仲間、家族などには人間として大らかで、信頼され、包み込むようなところもある人物である一方、先日、掲載した上記の手紙に見られるように、映画の中のセリフにもある「女性の扱いは苦手」であったようです。そして、一旦好きになると、独占欲やジェラシーに苛まれてどうすることもできない一面もあったらしいのです。


                   ブラウンがファニーにヴァレンタイン・カードを送ったことに怒り狂うキーツ
ベン・ウィショー 『ブライト・スター』 垣間見えるキーツのジェラシー_d0160581_20472392.jpg私の印象として、初めて映画のこのシーンを観たとき、なんだか全体のトーンに比べてここだけやけに唐突な感じがした。他のシーンは、キーツの人間の大きさ、落ち着き払って何事にも動じないキーツ!という描き方なのに比べ、ここだけ急にキーツが人格が変ったように怒り狂った!
キーツの性格や、生き方を多少知っているとそこをどうにか自分で結びつけて、この映画全体のコンセプトを読み取ることはできたのだが、それが苦しい作業であったことは否めない。

そして、先日アップしたインタビューのベンのコメントを読むと、このシーンは比較的最初の方に撮影されたが、カンピオン監督、現場の役者の動くままに任せてあまり演出をしなかったとのこと。
ベンは多分、山と書物を読んで用意していた分、ここで存分にキーツのダークな部分を表現したかったのだと思う。ところが、カンピオン監督は、ファニー側からの視点で筋を通したかったため、進めていくうちにトーンが変ってきたのかも・・・。それで、下宿に移ったところのシーンもカットされたのだと勝手に推測。

キーツが主役の、もっとじっくりとベンを堪能できる作りの映画を観たかったー!と、今さらながらに切望!こんなにいい設定で、世界に冠たる詩の天才=キーツを演じることなどもうないのだから・・・もったいな~いいいいいい!

まあ、ベンには、映画の出来とは別に、大変な人生勉強にはなったようだから、私も納得しとこう。。。(泣笑)




↓ 2009年カンヌ映画祭の時のイギリス Guardian 紙のベンのオーディオ・インタビュー
http://www.guardian.co.uk/film/audio/2009/may/21/cannes-film-festival-scorsese-coppola

Ben’s interview starts about 36:20

(スコセッシやコッポラ監督の長いのに続いて、あとの方でちょっこし・・です)
by uraracat | 2011-01-09 21:54 | Bright Star インタビュー
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